産休・育休中の給料って?もらえる期間や申請方法は?

こんにちは!大切な時期を過ごす中で、産休・育休中の給料に関する不安はつきものですよね。
安心してご準備いただくために、どのぐらいの支給が受けられるのか詳しくご説明いたします。

さあ、一緒に見ていきましょう!

目次

産休・育休中は、給料はどうなるの?

産休・育休中は、会社から給料は支払われないことがほとんどです。産休・育休共に法律で定められた労働者の権利ではあるものの、その期間内の給料の支払いについて規定はありません。

とはいえ、給料=労働の対価ですので、働いていない期間に給料を支払う企業はまれだといえます。産休中・育休中に給料の何割かを支払う企業や全額支払う企業もありますが、数としてはほんの一握りです。

産休・育休制度とは?

産休とは、出産する女性が、出産予定日の6週間前から出産後8週間の間に休業することです。 育休とは、子どもの生後9週目(母親の産後休業の翌日)から子どもが満1歳になるまでの期間に休業することで、パパ・ママどちらも取得できます。また2022年に育休法が改正され、子どもの出生から8週目までに取得できる産後パパ育休制度が加わりました。

出産時にもらえるお金一覧

先ほど述べたように、産休・育休期間中は、給料は支払われないことがほとんどですが、給料の50%~70%程に相当する手当金や給付金を、健康保険や雇用保険から受け取ることができます。

また、それ以外にも国や自治体からさまざまな支援を受けることができますので、安心してください。

ここからは、産休・育休期間中に受給できるさまざまな手当について解説します。

【出産に関する給付金01】出産育児一時金

対象(誰がもらえる?)

出産する本人もしくはその家族(配偶者・世帯主)

支給額

50万円×子どもの人数

申請から受給までの流れ

出産育児一時金は、勤務先が加入する健康保険や国民健康保険から、子ども一人につき原則50万円が支給されます。国民健康保険の場合は世帯主に、健康保険の場合は被保険者に支給されます。扶養内で働く配偶者が出産した場合は、被保険者が給付対象者となります。

また、出産育児一時金の直接支払制度を利用すれば、医療機関などの窓口での自己負担額は、出産育児一時金の額を超過した分のみとなります。一方で出産費用が出産育児一時金の額を下回った際はその差額を受給することができるので、手続きを忘れないようにしましょう。

加入している保険組合や住んでいる自治体によっては付加給付を受けられる場合もあるので、調べてみてください。

【出産に関する給付金02】出産手当金対象

対象(誰がもらえる?)

勤務先の健康保険加入者で産前産後休業を取得した人(ママ)

支給期間

産前・産後休業中(産前6週間±予定日とのずれ+産後8週間※最長

支給額

標準報酬日額×2/3×日数

産前・産後休業中に給料の支払いを受けなかった場合は、出産手当金として、欠勤1日につき、1日当たり賃金の3分の2相当額が支給されます。

出産手当金は、申請条件を満たせば、正社員だけでなくパートやアルバイト、契約社員であっても受給できます。

また、出産手当金の支給期間は、健康保険料、年金保険料、雇用保険料なども免除されます。免除期間中も保障はそのまま受けることができますし、加入実績も継続されるため、将来に影響することなく利用することができます。 注意したいのは、出産手当金がもらえないケースがいくつかあるという点です。

以下にまとめましたので、該当する項目がないか確認してみてください。

民健康保険に加入している

出産手当金は、勤務先が加入する健康保険から支給されるため、国民健康保険に加入している方はもらえません。自営業、フリーランスの方や退職などで勤務先の健康保険の被保険者でなくなった人は、国民健康保険に加入します。自分の加入している健康保険について把握しておきましょう。

産休中に給付金よりも多く給与を受給している

最近では、福利厚生の一環などで産休中の従業員に給与を支払う会社もあります。産休中の給与が出産手当金よりも多い場合は、出産手当金がもらえません。一方で産休中の給与が、出産手当金よりも少ない場合は、差額分を出産手当金としてもらえます。なお、公務員の場合、産休中も給与が満額支給されますので、出産手当金はもらえないと考えていいでしょう。

家族の健康保険の扶養に入っている

出産手当金の支給対象者は、健康保険の加入者本人のみです。パートタイムで働いている人などで配偶者や親といった家族の健康保険の扶養に入っている場合は、出産手当金の対象外となります。また、出産一時金とは異なり、出産手当金は出産する本人に支給される手当のため、扶養者である配偶者や家族は支給対象者外です。

健康保険を任意継続している

退職後も会社の健康保険に継続加入できる制度を使い、健康保険を任意継続している場合、原則として在職中のときと同様の保険給付を受けられます。しかし、出産手当金や傷病手当金は任意継続の被保険者には原則支給されないのでご注意ください(健康保険法第104条による継続給付の要件を満たしている場合は除く)。

申請期限が過ぎている

申請期限が過ぎている場合は出産手当金をもらえません。出産手当金の申請期限は「休業していた日ごとに、その翌日から2年以内」です。申請は通常勤務先が行いますが、申請期限があることは認識しておきましょう。

【出産に関する給付金03】傷病手当金

対象(誰がもらえる?)

勤務先の健康保険加入者(妊娠中、産前休業前に病欠した場合など)

支給期間

療養のため連続して3日間仕事を休んだ後の4日目から支給が始まり、その日から通算して1年6カ月

支給額

【支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)

(支給開始日とは、一番最初に傷病手当金が支給された日のこと)

詳しくはこちら

支給要件:傷病手当金は、病気やケガで会社を休んだときに加入先の健康保険から受けとれる手当金です。産前休業に入る前の休業は病休扱いになりますので、この対象となります。

例えば、つわりなどの体調不良で会社を長期で休む場合に使えます。傷病手当金の支給の要件は以下の4つになります。

4日以上仕事を休んでいる

療養のために仕事を休み始めた日から連続した3日間を除いた4日目からが支給の対象期間となります。

業務外の病気やケガで療養をしている

業務上や通勤途中での病気やケガは労働災害保険の給付対象となるため対象外です。また、健康保険の給付対象とならない治療のための療養も対象にはなりません。

療養のため労務不能である

労務不能とは、今まで従事している業務ができない状態のことです。労務不能かどうかは、医師の診断や被保険者の業務内容、その他の諸条件を考慮して判断します。

給与の支払いがない

ただし、給与が一部だけ支給されている場合は、傷病手当金から給与支給分を減額して支給されます。

【育児に関する給付金】育児休業給付金

対象(誰がもらえる?)

雇用保険への加入者で、育児休業を取得した人(パパ・ママ)

支給期間

子どもが満1歳になるまでの育休取得期間(条件によっては2歳まで延長可能

支給額

休業前の賃金x 67%(180日)・50%(180日を超える場合)
※ただし、支給額には上限があります。

申請から受給までの流れ

会社が手続きを行う

育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が育児休業を取得した場合に支給されます。復職が前提の制度なので、育休後に退職予定の場合は対象外です。

また、育休中に退職した場合は、退職日を含む1カ月以降は支給の対象から外れてしまいますので注意しましょう。 育休期間中、育児休業給付金として6カ月(180日)間は休業開始時の賃金の67%が、その後は育休終了時まで50%が支給されます。

受給手続きは会社が行います。 雇用保険の加入者であれば、雇用形態にかかわらず誰でも受給できます。アルバイトやパートで働いている人でも、雇用保険加入者で、かつ以下の条件さえ満たしていれば受給可能です。

  • 育休開始前の2年以内に11日以上勤務している日が12カ月以上ある
  • 育休期間中、各月で育休開始前の給料の8割以上の給与が支払われていない
  • 育休中の就業日数が月に10日以内か80時間以下である
    なお、休業給付金は非課税のため所得税の控除はなく、次年度の住民税の基礎控除の対象外となります。

【自治体からの交付金】出産・子育て応援交付金

対象(誰がもらえる?)

全ての妊婦・子育て家庭(世帯単位)

支給額

10万円相当(妊娠時5万円+出産後5万円相当。内容は自治体による)

出産・子育て応援交付金は、2023年4月から始まった新しい出産・子育て支援制度です。

休業中に支払われる他の給付金と違い、働いているかどうかにかかわらず受給できます。妊婦・子育て家庭のニーズに即した効果的な支援を目指したもので、孤立しがちな妊婦に対し面談を行う「伴走型相談支援」と、経済的支援として「出産・子育て応援ギフト」を組み合わせた形になっています。

そのため、給付のタイミングが、妊娠届出時の面談実施後と、出生届出時の面談実施後の2回想定しているのが特徴です。 また、運用が自治体にゆだねられているため、支援内容も自治体によってさまざまです。

お住まいの自治体へ妊娠を届け出るタイミングで、確認してみましょう。

上記で述べた給付金などの支援のほかに、妊娠中の妊婦検診(14回分)については自治体からの助成があります。助成金額などの詳細については、住んでいる自治体の窓口などで確認しましょう。

また、子育て期にもさまざまな支援が受けられます。子どもの医療費への補助が受けられる自治体は多く、他にも、児童手当は、0歳から中学3年生までの子ども(15歳に到達後、最初の3月31日まで)を養育している人に支給されます。

さらに自治体によっては高校の授業料無償化が実現しており、これも子育て世帯には大きな支援と言えるでしょう。

夫婦で育休を取るとお金が心配…
実は手取りベースではあまり変わらない?

「育児休業給付金」と社会保険料の免除について

育休中の家計を支えるサポートとして「育児休業給付金」があります。

先に述べたように、育休を取得した場合に休業前賃金のおよそ67%(180日間)が支給されます。

また育休期間中は医療保険や年金など社会保険料の支払いが免除されるため、手取り額で比較すると、育休前の80%程度は実質支給される計算になります。

加えて、2023年3月、政府が「産後パパ育休」の給付金の引き上げを検討していると発表しました。現行の給付金は賃金の67%ですが、今後は80%程度に引き上げる方向で調整されており、そうなれば実質の手取り額は休業前と同等になります。引き上げ時期などの詳細はまだ明らかにされていませんが、支給率の増加により、男性の育休取得が進むことが期待されています。

ここで考えてほしいのは、産休・育休期間に支払われる給付金の多くは、毎月給与から支払っている税金や社会保険料が財源です。ジェンダー平等先進国、男性育休取得も当たり前の北欧諸国では、税や保険料を支払うのも当然なら、育休を取得し、その間給付金を受け取るのも当然という考え方。日本でも社会全体で子育てをするという考えがもう少し浸透することで、男性も、育休を与えられた権利として自分の望む形で取得できるようになるのかもしれません。

いずれにせよ昨今の少子化や労働市場での人手不足もあり、国・自治体から出産・子育てへのサポートは手厚くなっています。ここでは経済的支援についてまとめましたが、他にもさまざまなサービスが設けられています。安心して出産・子育てできる環境づくりは進んでいると言えるでしょう。

最後に

自分が加入している健康保険によって、給付金や申請方法が異なるので、まずは自分の健康保険の種類を調べた上で該当する給付金等を把握しましょう。

その上で、自身で申請が必要なものを確認する必要がありますね。

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